鰹節の日

1月24日は「いいふし」の語呂合わせで「鰹節(かつおぶし)の日」です。

現代では「かつおぶし」と言うと、削って小分けして窒素充填パックに入った「けずりぶし」のイメージが強いのですが、これは1969年に「にんべん」が開発したもの。削り節というもの自体は明治時代からあったのですが、鮮度が落ちるのは避けられないことで、そのため、昔は丸ごとの鰹節を買ってきて、食べる直前に専用のカンナで削って食べていた家も結構あったようです。(現代でもこだわる人はそうしていると思いますが)

鰹自体は古くから食べられている魚ですが、鰹節の技術が確立したのは室町時代です。しかし当時はそんなに日持ちする食材ではありませんでした。今のように保存の利くものとなったのは江戸時代で、最初に17世紀に紀州の角屋甚太郎という人とその一族が、樫をいぶして燻乾する方法を考案し、更に18世紀末から19世紀初頭に掛けて、同じ紀州の土佐与市という人が、カビ付けによって表面を保護してかなりの長期間保存できるようにする方法を開発しました。土佐与市はこの技術を積極的に全国に広めて、鰹節の技法は普及したのですが、紀州本国からは、せっかくの紀州独自の技術を漏らしたとして追放の処分を受けています。

このように良質の保存食となった鰹節は、鰹が「勝つ魚」に通じ、節が「武士」に通じることから、江戸時代には、武家を中心に贈答品の定番商品として重宝されましたが、ここから「商品券」が誕生したこともよく知られています。

ある年、鰹が不漁の年があり、御歳暮シーズンだというのに、鰹節が必要な数確保できそうにないということがありました。その時、一軒の商店が考えたのが「鰹節の引換券」で、これをお持ち下さった方にはいつでも鰹節を差し上げますということにしました。すると、すぐ引き替えに来る人もいますが、結構たってから引き替えに来る人もいるので、その時間差を利用して最終的に必要な鰹節の数を確保することができたのです。

これは贈る人も、贈られたものを他家への贈答に回したりする人も実物の鰹節を持ち運ばなくて済んで楽なこともあり、翌シーズンからも実物ではなくこの引替券を買う人が増えて、それ以降定着していったのです。